Interview #3

「この展示会を成功させたい」
カンファレンスを通じて業界の成長に貢献

これまで5分野30展以上の展示会で、1,000を超えるカンファレンス数を手がけてきた、カンファレンスひと筋20年の田口 由実子さんの仕事の哲学に迫ります。

◆田口 由実子さん プロフィール
2004年に新卒入社。入社以来約20年間、カンファレンスづくりに携わる。
現在はカンファレンス統括として担当展示会の全体責任を負う。
現在の担当展示会は、「日本 ものづくり ワールド」など


カンファレンスは、展示会の成功を左右する  

―どんな想いでカンファレンスをつくってきたのか教えてください。

シンプルに「この展示会を成功させたい」という気持ちが一番強いです。

カンファレンスが魅力的であるほど、展示会にたくさんの来場者を呼べます。来場者が多いほど、参加企業にとって情報収集や交流のチャンスが増えるはずです。そうでなければ、せっかく時間をつくって参加してくれた企業にとって満足のゆく展示会にならず、また次回も参加したいとは思ってもらえないでしょう。極端な言い方をすれば、カンファレンスの成功が展示会の成功を左右するのだ、という気持ちで毎日仕事に向き合っています。

展示会を成功させたいと思っているのは、会社に利益を生むためはもちろんですが、担当する業界に貢献したい、という気持ちが強いです。

カンファレンスに参加する方々は、何かしらの課題や悩みがあり、そんな方々に少しでもヒントを与えられる企画がつくれればと思っています。参加した方のなかで生まれたひらめきが、製品やサービスのイノベーションにつながり、それが積み重なっていけば、業界がさらに大きくなっていくはずです。

実際にカンファレンス終了後、参加した方のアンケートでは「今後の業務に活かせる情報が聞けました」と多くの方からコメントいただけ、どの回でも平均的に80%以上の人が「カンファレンスの内容が役に立った」と回答してくれます。今後も、高い満足度を維持しながら参加者の学びになる企画をつくっていきたいです。

さらに、ご登壇企業にとってもイノベーションのきっかけを与えられると良いなと思っています。普段の業務ではなかなか他社と頻繁に交流する機会を持てていない企業も多いです。そんな企業と参加者とがカンファレンスを通じて名刺交換をし、お互いの課題についての意見交流が起こるといいなと思っています。会社を越えたつながりができると、業界全体にもインパクトのある取り組みが生まれると考えています。

業界が大きく成長することで、展示会に参加する企業も増えるはずで、結果的にはRX Japanのためにもなると思っています。私たちの存在が、関わる業界にとって欠かせないものになれれば、業績は後からついてくるはず。


「勇気を持って、開催してくれてありがとう」

―思い出に残るエピソードがあれば、教えてください。

たくさんありますが、直近ではコロナの影響で開催自体が危ぶまれた「名古屋 ものづくり ワールド」が開催できたことは強く印象に残っています。

もともとは、2020年4月に開催予定でしたが緊急事態宣言が発令され、9月に延期になりました。日程が変わると登壇者含めカンファレンスの内容が大きく変わりますので、再度調整をやり直しました。準備を進めていくなかで、本当に開催できるのか最後の最後まで不安でいっぱいでした。

特に、私が担当している展示会は、毎年同じ場所で繰り返し開催しているものが多く、出展企業からすると重要な営業機会のひとつです。売上を見込んでいる会社が多くあるなかで、中止するわけにはいきません。特にコロナの流行で打撃を受けた企業のなかには、展示会が会社の存続につながる重要な場所であることも考えられます。

出展企業だけでなく、いっしょに展示会をつくってくれる協力企業や、開催地周辺の飲食店、ホテルといった事業者にとっても展示会は売上を左右する大きなイベントです。RX Japanが各展示会で独自に測定している経済効果は、何十億、何百億と毎回大きな数字で、開催できないとそれだけ多くの事業者に影響が出ます。

展示会を頼りにしてくれている皆さまのためになんとしても開催したいと思い、どうなるか先がわからないなかでも準備を進めました。そして9月、緊急事態宣言も出ず、感染症対策に配慮しながら、無事に展示会を開催できました。予定していたカンファレンスも無事に取り行うことができ、ようやく安心できました。

展示会の初日、カンファレンスでご登壇いただいたとある方から「勇気を持って、展示会を開催してくれて、本当にありがとうございました」と言ってもらえました。その言葉は今でも忘れられません。「展示会は“不要不急”なのか」「本当にリアルで開催する意味があるのか」チームメンバーで何度も自問自答をしましたが、当日の会場の熱気と、その登壇者のひと言で「自分たちがやってきたことは間違いではなかったのだ」と思えました。

▲2022年4月の名古屋 ものづくり ワールド名古屋のカンファレンスの様子。


リアルに開催するからこそ
RX Japanにしかできない展示会を

―これからの展望を教えてください。

展示会の提供価値をもっと大きくしたいです。

今も多くの企業に認知いただいていますが、国外も含めてもっとたくさんの企業に知ってもらい、参加したいと思ってもらえる場所を生み出したいです。そのためにも、展示会の新しい形を開発したいと思っています。

今、世の中ではデジタル化が進み、オンラインカンファレンスやセミナーの開催ハードルが低くなっています。それにともなって、情報を求める側からすると「どれに参加すれば良いのかわからない」という新しい難しさも生まれていると感じます。

私たちが提供する展示会はリアルでの開催にこだわっており、常に参加者にとって必要な情報や体験を提供してきました。製品を実際に触って商談ができることや、同じ業界の方々が一気に集まることによって生まれる、熱のある雰囲気はこれまで築き上げてきた私たちの強みで、リアルならではの価値でもあると思います。

オンラインでも情報が集められる時代に、私たちの展示会に何が求められているのかをしっかり把握し、RX Japanの展示会をさらに進化させられるといいなと、思っています。

カンファレンスに限って言えば、参加者や登壇企業にどのような影響があったのかの測定もやってみたいと考えています。カンファレンスでの交流がきっかけで商談につながった、新製品が生まれた、といったカンファレンスを起点とした経済効果について、何かしらの形で追跡して、私たちが本当に提供している価値を測定可能にしてみたいですね。

子育てやプライベートの充実も大切にしながら、自分らしいペースで仕事も楽しみながら取り組んでいきたいと考えています。

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