Interview #7

“フェムテック”業界の先駆けに
Femtech Tokyo立ち上げストーリー

フェムテックご存知でしょうか? 「Female(女性)」と「Technology(テクノロジー)」を掛け合わせた造語で、生理、月経、不妊、更年期、婦人科系疾患など、女性の健康課題をテクノロジーで解決する製品やサービスを指します。昨年10月に第1回を開催し、大成功した「Femtech Tokyo(フェムテック トーキョー)」。立ち上げメンバーのひとりである、国内企画営業の平野 恵玲奈さんが、展示会立ち上げの裏側を語ってくれました。

◆平野 恵玲奈さん プロフィール
2013年入社。入社以来、総務・人事・経理 Week、ライブ・エンターテインメント EXPO、EDIXなどのマーケティング担当を経て、
現在は国内企画営業担当に。担当展示会は、Femtech Tokyoなど。


―「Femtech Tokyo」の立ち上げのきっかけは、男性社員のアイデアだったとお聞きました。

はい、そうなんです。人工知能・AI EXPOの事務局長である、下田アトムさんが、情報収集のためにさまざま先端テクノロジーを調べている時に、たまたまフェムテックの記事を目にしたそうです。「生理・月経」などの女性が抱える悩みや困難がテクノロジーで解決できるので、これは展示会を開催することで社会課題の解決につながるかもしれないと、思ったそうです。

男性から「生理・月経」の展示会を提案する事にはとても抵抗があったようですが、それでもそのアイデアが頭から離れず、思い切って、私を含めた数人の女性社員に相談してくれました。相談されたすべての女性社員が「ぜひやるべき!」と強く賛同しました。そこからは、プロジェクトチームを作って何度も議論を重ね企画を作成し、私も何とか実現したいと夢中で取り組みました。

そして、ついに幹部会での承認にこぎつけました。幹部会では多くの幹部が「生理・月経」「妊活・妊よう」などに関する展示会を開催するという斬新な切り口にびっくりしていましたが、最終的にはチームの熱意に押され承諾が出ました。
2021年9月に、開催の発表をすると、「出展したい」という問い合わせが100件以上あり、予想以上の反響に。良いカタチで立ち上げられたことに安堵しました。

―改めて、「Femtech Tokyo」について教えてください。

「Femtech Tokyo」は、女性の健康課題における理解を深める場を提供すること、また、そういった課題の解決を支援する女性向けサービスの認知を広げることが目的です。女性はもちろん、企業の男性管理職や男性社員にも来場いただき、女性の健康課題を知ってもらいたいな、と。広くフェムテック・フェムケアの認知・理解を広げることで、女性がより働きやすく、過ごしやすい社会になればと願っています。

昨年第1回を無事に開催できたのですが、175社が出展し、14,123名が来場しました。フェムテックに特化した展示会としては、日本最大規模だったんです。
また、同時開催したカンファレンスでは、企業のフェムテックの取り組み事例を共有しました。フェムテックを巡る最新の情報を発信したりすることで、女性の健康課題やフェムテック・フェムケアの社会的認知を広め、女性にとってよりポジティブな社会につながる場にしたいという強い思いがありました。

さらに、ありがたいことに、「VERY」や「VOGUE」など12媒体がメディアパートナーとして、「Femtech Tokyo」に賛同してくださいました。さらに展示会開催後も、メディアパートナーのみなさんにも関連コンテンツを発信してもらうなど、いっしょにフェムテック市場を盛り上げています。

▲第1回「Femtech Tokyo」の会場レイアウト図


会社のなかのフェムテックへの意識改革で、「福利厚生」にも変化をもたらす

実は、10年以上前から、RX Japanは女性社員の割合が約50%を占めています。RX Japanは、「Femtech Tokyoを主催するならば、フェムテック・フェムケアを理解し、女性が働きやすい企業に変化していかなければならない」という思いを持っています。
そのため、RX Japanは常に福利厚生や制度をアップデートしながら、女性の健康課題に真摯に向き合っていきたいと考えています。

RX Japanでは、女性の働きやすさを目指し、いくつかの新しい制度を導入しました。

●フェムケア休暇制度:
生理休暇や不妊治療休暇(男性社員も取得可能)などを理由とした休暇を、月1日または2日間取得できるようになりました。
社内でしっかりと宣伝し、運用した結果、女性社員から「休暇を取りやすくなった」との声が聞かれています。

●柔軟なワークスタイルの導入:
新オフィスへ移転以後は、週2出社、週3在宅勤務が基本。7時〜10時の間でいつでも出社できるセミフレックスタイム制度も。
子育てと仕事を両立する社員からは、「時間に追われなくなり、精神的にも余裕が生まれた」と好評です。

●育休早期復帰制度:
出産後1年未満で早期に職場復帰を希望する女性社員に向けて、税金負担が高くなり育児休暇を取得するよりも経済的に不利になってしまうことを防ぐために、手当金を支給。
この制度は、女性社員に働く選択肢を提供することを目的として導入され、初年度には3名が利用し、昨年には11名が利用しました。今後も利用者数が増えることが予測されています。

その他、育休明けは時短勤務やフルタイムなど個々の要望に応じたオファーが用意されます。このような福利厚生や柔軟な働き方の制度により、導入後は、お子さんができた女性社員の育休 ⇒ 復帰率はほぼ100%で、ほとんどの女性社員が出産後も活躍しています。


一時的なブームで終わらない数十年と続く展示会へ

初回から、非常に多くの企業からお問合せをいただき175社の出展規模で開催しました。一方で、過去の開催実績がないなかで出展契約を取ることは、決して容易ではありませんでした。私にとっての契約第一号が超吸収型サニタリーショーツを販売しているブランド「Bé-A(ベア)」さんでした。

「すごくいいイベントになると思うからがんばってほしい。製品のPRには絶好の場だし、フェムテック全体の普及にもつながると思う」と、担当者の方が熱意を持ってお話ししてくださり、私の自信になりました。ベアさんの契約を皮切りに次々と出展企業が決まり、良い流れが生まれたと感じています。

また初回の来場者数は14,123名。初めて一般の来場者を招待しましたが、身近なSNSで発信したり、メディアパートナーやフェムテック関連の団体のお力を借りたり、地道な活動を重ねて認知を広げた結果だと思っています。

まずは初回を大成功で終えられました。しかし、一度の開催で女性の健康課題が解決するわけではありません。向こう何十年もフェムテック関連の展示会を継続開催することで、フェムテック・フェムケアの認知を広め、女性の働きやすさ、過ごしやすさに貢献したいと考えています。

次回以降は、女性のヘルスケア市場など、「女性」を軸により切り口を増やして発展させたいという展望があります。海外のフェムテック・フェムケア関連の企業にも参加してもらい、海外事例も発信するなど、日本から世界へ向けてアピールできる展示会に成長させていきたいですね。

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